本授業の目的は、専門職大学院などで掲げられる「理論と実践の融合」について深く理解し、それぞれの履修者がこのテーマに対する独自の見解を形成することです。特に、本授業では「実践の理論」を構築するための視座を提供し、そのために必要なフレームワークを批判的かつ創造的に検討する力を養います。
具体的には、「理論」や「実践」を説明・分析するための多様な概念や思考枠組みを学び、それらを活用して履修者自身の問題関心に基づいた「実践の理論化」と「理論の実践化」のプロセスを探究します。このプロセスを通じて、履修者が現場で応用可能な新たなフレームワークを設計し、提案できる能力を育成します。
また、本授業ではトピックごとの探究活動を通じて、「理論」と「実践」の間で双方向的な対話を行い、新たな知見や方法論を発見する機会を提供します。これにより、履修者が複雑な課題に対応するための柔軟かつ創造的な思考力を磨くことを期待しています。
理論と実践を捉えるための多様な概念やモデルを理解し、それらを用いて自らの実践を論理的かつ批判的に説明・分析できるようになる。
「理論」と「実践」の相互作用に基づき、理論的枠組みの射程と限界を批判的に検討し、それらを比較・応用する能力を身につける。
「実践の理論化」と「理論の実践化」のプロセスを探究し、自らの具体的な実務経験や関心に基づいた新たなフレームワークを設計・提案できるようになる。
トピックごとの探究活動を通じて、複雑な課題に対応するための柔軟かつ創造的な思考力を養い、「理論」と「実践」の双方向的対話から新たな知見や方法論を発見する能力を身につける。
(第1講)Positioning for the Journey
本授業の全体像を提示し、探究の旅路における目的と意義を共有する。また、「実践の理論」の基本概念を概観し、履修者自身の問題意識を明確化する。
(第2講/第3講)実践と理論をとりまく概念
暗黙知や形式知、実践知など、「実践と理論の融合」に関連する主要な概念を学び、それらがどのように相互作用するかを考察する。
(第4講/第5講)実践をどのように捉えるのか
「実践」の本質を探究し、その定義や特性について検討する。特に「経験」「実践」「行為」という関連する概念を比較し、それぞれの違いや関係性を明確化する。
(第6講/第7講)理論とはなにか
理論の本質について考察し、その構造や機能、射程と限界について理解する。特に社会科学における理論形成プロセスに焦点を当てる。
(第8講/第9講)中範囲理論/特定状況理論
中範囲理論や特定状況理論について、その特徴や適用可能性を検討する。これらが実務現場でどのように役立つかについても議論する。
(第10講/第11講)実践の理論
プラグマティズム思想から「実践の理論」を説き起こし、その意義や応用可能性について考察する。特にジョン・デューイなどプラグマティズム哲学者の視点から議論する。
(第12講/第13講)実践と理論の往還
理論と実践が相互作用するプロセスについて検討し、その可能性と課題について議論する。特に「双方向的対話」の具体的方法について考察する。
(第14講/第15講)総括討論
履修者がこれまで学んだ内容や自身で構築したフレームワークについて発表し、全員で議論することで学びを総括する。
上記の目的および到達目標を達成するため、本授業では講義法、グループワーク法、ペアワーク法を組み合わせて実施します。それぞれの授業週では1つのトピックを深く考究する形式を採用し、90分×2コマを連続して行います。これにより、履修者がトピックに集中し、深い理解を得られるよう工夫しています。
また、各授業終了時にはコメントペーパーの提出を求めることで、履修者が授業内容を振り返り、自身の関心や理解を整理する機会を提供します。これにより、学習意欲を維持しながら、主体的な学びを促進します。
※リサーチワークとは、本授業で扱った内容を基に、履修者自身の関心に応じた研究活動を実践することを指します。
以下の観点ごとに評価を行い、総合点を100点満点として換算する。60点以上を取得した場合に単位を付与する。
コメントペーパー(35%): 到達目標①と②に重点を置き、授業内容の理解度や批判的思考力、具体例との関連付け能力などを測定。
最終授業回でのディスカッション・発表(65%): 到達目標③と④に重点を置き、新たなフレームワーク提案や複雑な課題への対応力、創造性などを測定。
到達目標との対応
①理論と実践を捉えるための多様な概念やモデルを理解し、それらを用いて自らの実践を論理的かつ批判的に説明・分析できる。
評価方法: コメントペーパー(35%)を通じて、履修者が授業内容を理解し、自らの言葉で理論と実践の関係性を説明できているかを評価する。特に、理論的枠組みを用いた具体例や批判的視点が含まれているかを重視する。
②「理論」と「実践」の相互作用に基づき、理論的枠組みの射程と限界を批判的に検討し、それらを比較・応用する能力を身につける。
評価方法: コメントペーパー(35%)で、履修者が理論の適用可能性や限界について具体例を挙げて考察し、比較検討できているかを評価する。特に、自身の経験や課題意識との関連性が示されていることを重視する。
③「実践の理論化」と「理論の実践化」のプロセスを探究し、自らの具体的な実務経験や関心に基づいた新たなフレームワークを設計・提案できる。
評価方法: 最終授業回でのディスカッションおよび発表(65%)において、履修者が自身の問題意識や経験に基づき、新たなフレームワークや解決策を創造的かつ論理的に提案できているかを評価する。特に、提案内容が現場で応用可能であるかどうか、その独自性と実現可能性も考慮する。
④トピックごとの探究活動を通じて、複雑な課題に対応するための柔軟かつ創造的な思考力を養い、「理論」と「実践」の双方向的対話から新たな知見や方法論を発見する能力を身につける。
評価方法: 最終授業回でのディスカッションおよび発表(65%)で、履修者が他者との対話や探究活動から得た知見や方法論について明確に示し、それらが複雑な課題への対応策として妥当性と創造性を持つかどうかを評価する。